日本における「学校弁護士」制度導入の背景
日本では学校現場で学部(保護者)による行き過ぎた要求が問題となり、弁護士が学校側代理人として関与する「学校弁護士」制度が広がりつつある。本稿では、この動きを手がかりに、韓国・京畿道が導入した教権保護専任官制度との共通点と相違点を検討する。とりわけ、専任官の選抜対象を弁護士に限定しない韓国側の制度設計がはらむ懸念について、実務家の視点から考察する。
最近、連合ニュース(聯合ニュース)を通じて、日本でも保護者の行き過ぎた要求や行動によって学校現場が疲弊しており、これに対応するため弁護士が学校側の代理人として問題解決に関与する制度が導入されつつある、という記事に接した。この記事を読んでまず思ったのは、韓国だけでなく日本もまた同様の状況に直面しているという事実が、いささか意外だったという点である。教権侵害の問題が韓国社会に限られた現象ではなく、隣国においても共通して現れているという事実は、この問題が特定の国の文化的特殊性に由来するものというより、学校という空間そのものが抱える構造的な問題である可能性を示唆していると考える。
教権侵害問題は文化的特殊性か、構造的問題か
もっとも、個人的には、日本の教師が経験する保護者による行き過ぎた行動と、韓国の教師が経験するそれとを比較すると、韓国の方がより深刻ではないかという印象を抱いている。無論、これは客観的な統計に基づく判断というより、これまで報道等を通じて接してきた事例に基づく、いくぶん主観的な印象に近い。とはいえ、韓国社会で報じられる教権侵害事例の様相を見る限り、その深刻さや頻度において決して軽視できるものではないという印象は拭いがたい。
この記事に接し、Netflixドラマ「参教育(チャム教育)」を思い出した。同作品の原作はNAVERウェブトゥーン「参教育」であり、NAVERウェブトゥーンのプラットフォームで閲覧することができる。日本の漫画配信プラットフォームであるLINEマンガに同作品が配信されているかどうかは確認できなかったが、もし配信されているのであれば、日本の読者もこの作品を通じて、韓国における教権侵害のおおよその様相を間接的に窺い知ることができるのではないかと思う。
京畿道の教権保護専任官制度とその課題
記事によれば、日本弁護士連合会は、弁護士が学校側の代理人として保護者との問題解決に関与できる制度の構築を提言しており、大阪弁護士会は「学校弁護士」という名称の弁護士派遣制度を運営し、弁護士人材を配置しているという。これに照らして韓国の状況を見ると、京畿道教育監が京畿道内で活動する教権保護専任官を募集する形で、同様の問題に対応している点が目を引く。もっとも、この制度はソウルではなく京畿道内の学校にのみ適用されるという地域的な限界があり、何よりも選抜対象の範囲において日本の制度と相違がある。日本の場合は弁護士が学校の代理人としての役割を担うのに対し、京畿道の教権保護専任官は、弁護士に限らず京畿道民、教員、専門家等にまでその選抜範囲を広げている点が特徴的である。
この相違を見ながら、一つ懸念される点がある。行き過ぎた行動をとる保護者等に対応する際、いざ教権保護専任官が現場に到着しても、相手方が専任官の言動が法に抵触するかどうかを逆に探ろうとする恐れがあるということである。言い換えれば、教権保護専任官自身もまた自ら一線を守るべき立場にあるところ、弁護士でない場合には、むしろ専任官自身がその一線を越えてしまう余地があるのではないかという懸念である。こうした理由から、韓国において教権保護専任官の選抜範囲を法律専門家以外の一般人にまで広げたことについては、いささか不安を覚えるというのが率直な心情である。
制度の実効性を左右するもの
記事で紹介された日本のある弁護士は、学校現場の問題に過度に介入しようとせず、冷静に対話する姿勢を示すことこそが、保護者と教師の関係を損なうことなく問題を解決する道であると助言していた。この助言は、日本に限らず、韓国の教権保護専任官制度を運用するうえでも、じっくりと味わうべき指摘であると考える。制度の実効性は、結局のところ、その制度を運用する者が法と原則、そして節度ある態度をどの程度備えているかにかかっているはずだからである。
