刑事被害者なのに民事も絡む場合、私選弁護士を勧める理由とは

警察の「不送致」急増が刑事被害者に突きつける現実

少し前、韓国の法律専門紙「法律新聞」に興味深い記事が掲載されていた。検事が警察に補完捜査(事件を送致された検事が起訴の可否を判断するため、警察に対して不足している捜査事項の補充を求める制度)を要求しても、警察がこれに応じず、自らの判断で「不送致」(警察が事件を検察に送致せず、自ら捜査を終結させる韓国独自の制度)として処理し、事件を終結させてしまうケースが、毎年1,500件を優に超えているという内容だった。ソウル警察庁によれば、2025年に検察が求めた補完捜査21,788件のうち1,518件、割合にして6.9%がこの方式で終結している。2024年にも22,141件中7.7%に当たる1,705件が、同じ道をたどった。

条文だけを見れば、警察のこうした自己完結的な処理が違法というわけではない。刑事訴訟法第197条の2および捜査準則は、検事が起訴の可否を判断するために補完捜査を要求できると定めているにすぎず、その要求が必ずしも起訴を前提とするものではないからである。しかし記事が指摘するとおり、警察による自己完結的な終結が補完捜査の要求を適切に履行した結果なのかを、誰も保証できないという点で問題が指摘され続けてきた。結果として、警察と検察のいずれもが責任を負わずに済む方向へと捜査がなあなあに流れてしまう可能性がある、という指摘である。

記事に引用された現場の声も、こうした懸念を裏付けている。

「検事が『警察の段階で終結させてほしい』という趣旨で補完捜査を要求してくることもある」……「『事件のピンポン』が始まると終わらないので、結局は不送致で片付けるしかない」

—— 警察関係者(法律新聞、202692日)

「構成要件の検討が難しい事件や、専門性が求められる事件では、補完捜査を要求しても不送致にされてしまうことがある」……「とりわけ意欲に欠ける警察官の場合、事件をそのまま握りつぶしてしまう危険がある」

—— 現場検事(法律新聞、202692日)

202610月から施行される改正刑事訴訟法は、捜査が終結するまで検事が捜査情報システム(KICS、韓国の刑事司法情報システム)上で事件リストに対する処分権を保持できるようにし、警察には総合捜査結果を検事に通知することを義務づけている。しかし、検事に直接的な補完捜査権が与えられていない以上、検事が実際にできることは、警察からの通知を受け入れるか、もう一度補完捜査を「要求」してピンポンを繰り返す程度にとどまる。検察関係者の言葉どおり、目撃者や参考人について警察が所在不明を理由に捜査中止を決定してしまえば、検事としてはそれ以上打つ手がないというのが現実である。

このような構造のもとで最も大きな不利益を被るのは、結局のところ被害者である。薬物事件のように被害者が存在しない事件では、不服を申し立てる者すらおらず、そのまま埋もれてしまう危険があると記事も指摘しているが、被害者が存在する事件だからといって安心できるわけではない。事件が警察の段階で静かに終結させられてしまえば、被害者本人が積極的に異議を申し立て、手続を追い続けない限り、事件はそのまま終わってしまいかねない。補完捜査の要求すら実効性を担保できない今のような状況では、被害者自身あるいはその代理人が捜査の進行状況を最後まで追跡することが、かつてないほど重要になっている。

まさにこの点において、刑事被害者のための法的サポートをどのように組み立てるべきかという、実務上の課題が浮かび上がってくる。



国選弁護士を選ぶ際に、慎重になるべき理由

刑事被害者には、国が費用を負担して無償で弁護士を付ける制度(国選弁護士制度)が用意されている。私は、この制度自体は非常に貴重なものだと考えている。ただし、個人的な経験と意見を述べさせていただくなら、被害者が直面している事件が刑事事件にとどまらず、民事事件まで併せて絡んでいる場合には、国選弁護士よりも私選弁護士を選任するほうが望ましいと考えている。

理由は単純である。国選弁護士のサポート範囲は、当該刑事事件に限定される。民事事件は法的に完全に別個の事件であるため、同じ国選弁護士がその事件まで面倒を見ることはできない。しかも弁護士の間では、依頼者が受任範囲を超える事項——例えば国選として担当した刑事事件以外の民事問題——を尋ねてきても、安易に追加の助言をしないようにしようという話が実際に交わされている。好意で助言をしたところ、後になって問題が生じた際、本来の業務範囲ではなかったにもかかわらず親切に助言を与えたその弁護士がかえって責任を追及される、ということがあるからである。助言が的中したからといって、依頼者から特に感謝されるわけでもない。そのため弁護士の間では、受任範囲外であるならいっそ回答を控えるほうが互いのために安全だという共通認識が自然に形成されている。

こうした現実を踏まえると、刑事と民事が絡み合った事件において、国選弁護士の助力だけで問題を完全に解決することは難しい。結局のところ、民事事件については別途、私選弁護士を選任せざるを得ない状況に至ってしまう。

無料だからこそ軽んじられる現実と、弁護士を一本化する効率性

ここでもう一つ、少し違った角度からお伝えしたいことがある。人は、自分が費用を負担せず国の予算によって無償で提供されるサービスについては、その価値を低く評価してしまう傾向があるように感じることが少なくない。もしこの傾向が続くのであれば、むしろそうした無償サービスの利用のハードルを少し高める方策も検討する必要があるのではないかと思う。本当にそのサービスを必要とし、それを大切にできる人にこそ資源が行き渡るようにするためである。

同じ事件を、初めて会う弁護士に一から説明し直すという作業は、思っている以上に疲れるものである。一度説明するだけでも十分に骨が折れるのに、刑事事件は国選弁護士に、民事事件は私選弁護士にと、それぞれ別々に説明しなければならないとなれば、その疲労は二倍にも三倍にも膨れ上がる。私は、刑事被害者の事件に民事事件まで絡んでいると判断される場合には、最初から私選弁護士を選任し、事件全体を一貫して任せるほうが効率的だと考えている。それは事件を総合的に把握し解決するうえでも、依頼者自身の時間とエネルギーを節約するうえでも、より優れた方法である。弁護士を替えるなら事件全体をまとめて任せるほうがよく、事件ごとに複数の弁護士を分けて置くことは、結果的に自分の時間を無駄にする選択になりかねない。

検察の捜査権を奪った代価は、結局のところ国民が払っている

今回の記事が扱った問題の根本に、改めて立ち返ってみたい。現在のような「ピンポン」と「セルフ終結」が繰り返される根本的な原因は、検察の直接的な捜査権が事実上失われ、補完捜査を「要求」することしかできない構造に変わってしまったことにある。事件が集中する警察の立場からすれば、できる限り不送致で事件を片付けてしまおうという誘因が生じるのは避けられない。それ以上捜査を進めず、終結させてしまうのである。

そうであるなら、そもそも何のためにこれほど徹底して検察の捜査権を縮小したのか、疑問を禁じ得ない。これは多くの人々に実質的な不利益をもたらす政策だと私は考えている。私自身は検事として直接捜査を行った経験はない。それでもこの問題を見守るなかで、もし自分が法務部長官(日本の法務大臣に相当する韓国の役職)になったなら、検察の捜査権を再び復活させる方策を真剣に検討するだろうという思いに至る。それほどまでに、今の構造が国民に強いている負担は大きいと感じているからである。

準備が整わないまま刑事告訴を進めてしまうと、事件がまともに検討されることすらなく、静かに埋もれてしまいかねない時代である。刑事被害者であり、なおかつその事件に民事問題まで絡んでいるのであれば、最初から私選弁護士を通じて事件全体を一貫して管理することを、私はお勧めしたい。

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